施工開始前から気をつけたい、施工中・施工後の心得
大規模修繕は施工前に1年ほどかけて計画を進めていくことが多く、また、多くの方の意見を折衝したり、慎重で複雑な手続きが要求されたりする大仕事。そのため、業者を選定し施工が始まると、ホッと気が緩んでしてしまう方も中にはいらっしゃいます。しかし、施工中もまだまだ道は半ばですから、さまざまなことに注意を払う必要があります。それは施工後も同様。最後の最後まで気を緩めず、トラブルのない大規模修繕を実現できるよう、ここではいくつかのアドバイスをしておきます。
施工中に気をつけるべき3つのポイント
防犯意識を高め、徹底した施錠を
大規模修繕工事はほとんどの場合、建物の最上階まで足場を組み、全面をシートで覆って行われます。これは足場を伝って不審者が侵入しやすく、周囲からも見えにくい状態であるといえます。そのため、施工開始後は空き巣や不審者侵入に要注意です。特に、高層階の方は、玄関以外の防犯意識が薄くなっていることがあります。しっかりとした業者であれば、事前の説明会などで施錠や防犯意識についてきちんと注意が促されますが、同時に管理組合様できちんと呼びかけをすることも大切です。
不審者を見かけたときの対策を共有
施工中は、さまざまな工事に関係する不特定多数の人間が、敷地内を出入りすることになります。まず、不審者には直接声を掛けず、現場責任者に対応してもらうようにしましょう。さらに、不審者かどうかわからないこともしばしばあるため、入居者が工事関係者だと判断できるような、目印(制服・腕章・ベストの着用など)を業者と相談するとともに、不審者がいたときにはすぐ通報できる連絡先、連絡方法などを周知・共有しておきましょう。こういった事前の対策がしっかりしているだけでも、不審者は入りにくいと感じることがあります。また、業者によっては、施工中に警備員を置く場合もありますので、確認してみましょう。
防犯設備の強化
シートで覆われると、内側で何が起こっているか周囲からは見えません。施工中だけでも、各戸の窓を補助錠などで二重ロックにすると、防犯対策としても効果があります。また、補助錠の他、足場入り口の施錠、1階部分の足場からの侵入を防ぐ設備強化(金網で塞ぐ)などさまざまな方法も。きちんとした施工業者であれば、防犯対策のノウハウも持ち合わせていることがほとんどです。選定時のひとつの目安としても、施工中の防犯対策について確認してみましょう。
施工後に気をつけるべき3つのポイント
竣工検査で設計通りの施工かしっかり確認を
施工完了時には足場解体の前に竣工検査を行い、きちんと修繕箇所の説明を受け、チェックをします。業者によっては、設計書通りの満足いく仕上がりを実現できているとは限らないので、施工責任者としっかり確認する必要があります。不具合があった場合は、足場解体の前に直してもらうか、後日のアフターフォローで改めて修繕するかを決めましょう。そのとき、きちんと書面や図面、写真で証拠を残すことが重要。後でトラブルとならないよう、範囲を明確にし、共有しておきましょう。
工事完了時の書類もしっかり確認・保管を
工事完了後は工事完了確認書へのサインの他、数多くの竣工に関する書類を受け取ることとなります。後日、瑕疵が見つかったり、トラブルが起きたりすると、これらの書類が証拠書として重要になります。内容を確認したのちきちんと整理・保管しましょう。書類の書式や内容は、業者によって異なりますが、一般的には次のようなものがあります。
工事完了確認書
補修箇所図面
仕様変更書
施工計画書
施工写真
各戸補修確認書(控え)
保証書
アフターサービスの覚書
打ち合わせ議事録
使用した資材などのカタログ
保証書
アフターサービスの覚書
打ち合わせ議事録
使用した資材などのカタログ
アフターフォローの作業内容の確認
アフターフォローの内容は、業者によってさまざまです。施工業者には、アフターフォローにどういった作業内容があるのか、定期点検の周期はどれくらいか、きちんと確認しておきましょう。また、施工後に発生する緊急時の対応として、どこへ・どのように連絡すればよいかも確認しておくことが重要。業者によっては、担当部署が異なることがあるからです。また、瑕疵保証制度に加入している場合もありますので、保証金額などについても聞いておきましょう。